本堂
平成18年に新築された、静かなたたずまいの建物です。
昭和20年の空襲により、ご本尊と過去帳以外はすべて消失した光源寺。
檀家の田村氏より寄進された茶室を、檀家である小田棟梁の手により本堂として移築させていただきました。
明治38年(1905)、本郷弓町に創建された茶室は釘を使わない工法で作られており、一か所の細工を外したら、そこから次々と解体できたとのことです。
焼け跡が続く本郷通りを、大八車で引いて運んだと聞きます。
その後、茶室を覆うように鞘堂を建てて本堂として利用してきました。
茶室を内陣とした珍しい本堂の形態は平成18年の新築時にも踏襲されています。
他にない形で歴史を伝えている、涅槃寂静の心を感じさせる空間です。
本堂外側の額には「光源精舎」と彫られています。
これは、光源寺の「光源」に、僧侶が集まり修業を行う場所という意味の「精舎」を合わせた言葉です。
揮毫は哲学者で浄土宗僧侶であった山本空外です。
茶室内部、本尊右側の吊り戸棚には金唐革(きんからかわ)が用いられています。
金唐革とは、ヨーロッパ王侯貴族の城館の壁装や家具に用いられた装飾革で、革に型箔押しが施されています。
日本には江戸前期以降、オランダから輸入されました。
当時、茶室の装飾に使用する用途としては珍しく、茶室の建造者が新しい物好きだったのかな、などと想像しています。