駒込大観音(こまごめおおがんのん)

総高約6メートル、ひのきの寄木木造に金箔を貼った十一面観音立像です。

光源寺の境内には、元禄10年(1697年)に建立された、奈良の長谷寺の写しとしてつくられた木彫金箔の観音像がありました。

身の丈は2丈6尺(8メートル弱)であり、土蔵の観音堂の高窓から尊顔が拝めるようになっていました。

その様子は江戸名所図会にも描かれています。 

江戸名所図会に描かれた駒込大観音

 

しかし、昭和20年(1945)の空襲で観音堂とともに観音像は焼失しました。

目の前で堂宇が焼失した前住職は、焼け落ちるお堂とお像の姿に耐え切れず炎の中に身を投じようとし、近所の方に押しとどめられ泣きながら見守ったと聞いています。

焼失する前の観音様の全身のお姿
焼失する前の観音様の頭部
伊藤晴雨が描いた戦前の四万六千日縁日(文京区「ふるさと歴史館」蔵)

前住職の悲願により平成5年に、木造金箔の十一面観音が再興しました。

十一面観音とは、頭の上と正面、合わせて11のお顔を持つ観音さまです。

長谷寺式という、観音様でありながら地蔵菩薩の持ち物である「錫杖(しゃくじょう)」という杖を手にしているのが特徴です。

十一面の顔にある、慈悲・威怒・大笑などの相は、人々のあらゆる願いに応え、正しい道へ導くことを現しています。

例えば「頑張ってきたことに結果を出したい」という思いの願いには穏やかに応援してくださるようなお顔が励ましてくださり、「悪いことをして儲けたい」というよからぬ願いには怒りの形相が怠け心を正してくださる、というように考えていただければイメージがしやすいかもしれません。

仏さまに手を合わせて心を支えたいという方々の、日々揺れ動くさまざまなお気持ちを支えられるよう、24時間いつでも参詣していただけるようになっています。

観音様のご縁の日として、毎年7月9日・10日の「四万六千日」(しまんろくせんにち)には「駒込大観音 ほおずき千成り市」が行われ、地域の皆さんとの手作り縁日を開催しています。

(2020年・2021年はコロナ禍により規模を縮小しております)

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